フィラリア FILARIA
犬のフィラリア症(犬糸状虫症)とは、蚊によって媒介されるフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫が、心臓や血管に寄生することで様々な症状を引き起こす病気です。一般的に寄生数が少ない場合や病気の初期はほとんど無症状なため、見過ごされてしまうことが多いです。心臓や血管に寄生するため、治療が難しい場合や、命に関わる可能性がある病気ですが、犬フィラリア症は、お薬によりほぼ確実に予防できる病気です。
症状
元気食欲がない、急にやせた
慢性的な咳
疲れやすい、散歩に行きたがらない
お腹に水が貯まる(腹水貯留)
失神する
診断
ミクロフィラリア検査
血液中のミクロフィラリアを直接顕微鏡で見つける方法です。この方法では、感染していても20%程度しか検出できないと言われています。抗原検査
成虫の排泄物に含まれるタンパク(抗原)を、血液検査によって検出します。少量の血液で、結果も数分で出ます。画像検査
心臓や血管に大量に寄生した成虫いれば、エコー検査で見つかることもあります。
治療
フィラリア症の治療は、年齢や寄生状況、一般状態などにより選択します。
外科的な摘出 首の血管(頸静脈)から細い器具を入れて、直接心臓内のフィラリアを取り出します。ただし、この方法はリスクが非常に高いため、心臓にフィラリアが大量に寄生しているときなどにしか行いません。
予防薬の長期投与 通常のフィラリアの薬を、通常と違った飲み方で服用します。数年かけて、徐々に成虫を減らしていく方法です。死滅した成虫によるアレルギー性のショックを起こす可能性があるため、同時にステロイド剤などを服用することがあります。
いずれの治療法もある程度のリスクを伴います。フィラリアを治療するということは、感染し体内で成虫になってしまっている状況です。フィラリアは成虫にさせないように予防することが重要です。
予防方法
フィラリア症の予防は簡単です。1ヶ月に1回のお薬を忘れないことです。
-
お薬の種類
- 錠剤タイプ
食べものやおやつなどに混ぜて与えます。そのままで食べやすいおやつタイプやフレーバータイプもあります。
- スポットタイプ
首筋に薬液をつけるだけで予防できます。飲ませられない心配がなく、吐き戻しの心配もありません。
- 錠剤タイプ
-
お薬のタイミング
予防薬は、フィラリアの感染を予防するわけではなく、体内に入った幼虫を駆除するお薬です。また、予防薬の効果は1ヶ月持続するわけではないため、1ヶ月ごとの投薬が必要となります。
-
お薬を飲む期間
近年は温暖化の影響で、蚊の活動期間が伸びています。地域差はありますが、蚊の体内でフィラリア幼虫が感染力を持つ期間はおよそ5月〜11月までです。フィラリアの予防薬は、体内に入った幼虫を駆除するお薬のため、5月〜12月までの予防が必要です。
※フィラリアの予防を始める前には、毎年必ず血液検査を実施します。フィラリアの成虫に感染している状態で、予防薬を使用してしまうと、成虫が駆除され心臓や血管で詰まってしまい、重篤な症状が出てしまうことがあります。毎年12月までしっかりお薬を使っていれば、フィラリアは予防できているはずですが、お薬がうまく投与できていなかったり、12月に感染した場合もあるため、事前の検査は必ず必要です。