わんちゃんの埋伏歯
今回は『埋伏歯』について症例をご紹介します🦷
埋伏歯はあまり聞きなれない方も多いかと思われますが、わんちゃん、特に小型犬ではそれほど珍しいものではありません🐶。
簡単に説明すると、ある程度の年齢になっても、歯茎、または顎の骨の中に埋まったまま出てこない歯のことを指します。
小型犬では多くの場合、生後6〜7ヶ月齢で、乳歯から永久歯に生え変わります。
その際、切歯(前歯)→奥歯(臼歯)→牙(犬歯)の順番に、永久歯が萌出します。
※歯が歯茎から顔を出すことを萌出と呼びます
今回のわんちゃんは8ヶ月齢になっても、左右の下顎第1前臼歯の永久歯が確認できませんでした。
また、左の下顎第3前臼歯に関しては、永久歯が確認できず、乳歯の遺残が認められました。
永久歯が見られない原因としては
①埋伏歯
②欠歯(永久歯が存在しない)
いずれかの可能性があります。
この埋伏歯なのか欠歯なのかは、歯科専用のレントゲン装置がないと区別することは難しいです。
欠歯であれば問題ないのですが、埋伏歯の場合はそのままにしておくと、将来的に「含歯性嚢胞」という状態になり、顎の骨を破壊してしまうことがあります。
そのため、埋伏歯の場合は、基本的に抜歯が推奨されます。
今回のわんちゃんは、去勢手術と同時に口腔内のレントゲン写真の撮影を行いました。
左の下顎第3前臼歯は、永久歯が存在しないため、乳歯を永久歯の代わりとして機能させます。
ただし、この乳歯は将来的に脱落してしまう可能性がありますが、生活上支障はありません。
左右の第1前臼歯は埋伏歯であることがわかりました。8ヶ月齢ということを考えると、今後萌出してくれる可能性は低いため、飼い主様とご相談し、抜歯させていただくことになりました。
抜歯後は、抜歯窩(歯を抜いた後の穴)を掻破して、歯茎を縫合しました。
今回のような、埋伏歯は小型犬では度々見つかることがありますが、見過ごされているケースも少なくありません。
大切なことは、乳歯から永久歯に生え変わる4〜6ヶ月齢のときに、動物病院できちんとお口の中を見てもらうことです❗️
さいたま市南区 武蔵浦和どうぶつ病院