血圧を測りましょう!
人と同じように、わんちゃん、ねこちゃんにも高血圧が存在するのは、ご存知でしょうか?
人の約90%は、原因不明の高血圧(本態性高血圧)であるとされていますが、
犬・猫の高血圧の80%以上が、何らかの病気により高血圧が生じているとされています(2次性高血圧)。
わんちゃん・ねこちゃんの主な高血圧の原因疾患としては、
・腎臓病
・心疾患
・甲状腺機能亢進症(特にねこちゃん😺)
・副腎皮質機能亢進症(特にわんちゃん🐶)
などが代表的です。
中でも、慢性腎臓病の併発疾患としての高血圧が多いとされています。
慢性腎臓病と血圧については、こちらもぜひご参照ください。
高血圧の何が悪いのかというと、一言で言えば「全身の血管と神経にダメージを与える」からです。
特に、高血圧でダメージを受けやすい臓器が、
・腎臓 → 腎障害の進行
・眼 → 網膜剥離・出血、前房出血
・神経 → 異常行動、発作
・心血管系 → 心肥大、心雑音
などが挙げられます。
よって、絶対にNGなことは、慢性腎臓病と診断されたにも関わらず、血圧を測らないことです。
慢性腎臓病による高血圧を放置してしまうと、腎臓病の進行が早まることがわかっています。
定期的な血液検査や尿蛋白のチェックだけではダメなのです!
また、高血圧は重度であったとしても、動物は症状を示さないことが多く、
通常の身体検査などで高血圧を診断することは困難です。
そのため、普段の健康診断でも血圧を測ることをおすすめします。
当院では、動物専用の血圧測定機器を導入しております。
それがこちらの Vet20 です!
かわいらしい見た目ですが、しっかりものです。
ある北海道の麻酔科医の先生がおすすめしていたというのが導入の決め手ではありますが、
実際に使用していても、正確に測定できている実感があります。
それでは、わんちゃん、ねこちゃんの血圧はどうやって測るのかをご説明します。
(興奮している子は、測定が難しいこともあります…)
今回は、この子に協力してもらいました。
病院なのに、非常にリラックスした表情です。
決してふざけているわけではないです。
少しシュールですが、ご容赦ください…
動物の場合、前足(前肢)・しっぽ(尾根部)・後ろ足(後肢)で測定します。
なるべく、心臓と同じ高さで、動物が落ち着いているタイミングで複数回測定します。
場合によっては、飼い主の方に抱っこしてもらったり、
ねこちゃんの場合はキャリーケースに入ったまま測定することもあります。
高血圧の定義
収縮期血圧(いわゆる最高血圧)で定義することが一般的かと思います。
140以下 | 正常血圧 |
140〜159 | 境界域高血圧(グレーゾーン) |
160〜179 | 高血圧 |
180以上 | 重度高血圧 |
これらをもとにすると、160以上の高血圧が認められる場合は、
血圧を下げる治療や高血圧の原因疾患の特定をする必要があります。
まだ血圧を測ったことがないわんちゃん、ねこちゃんが多いと思いますが、
血圧測定は人の健康診断にも必ず含まれているほど重要なものです。
気になる方は一度ご相談ください。